ビジネスデザイン思考

デザイン思考を理解するには森に行こう

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C・W・ニコルさんはご存知でしょうか?ウェールズ生まれで長野県黒姫に移住してしまった小説家でありナチュラリストです。私は彼が好きで良くエッセイや小説を読みました。私は埼玉県所沢市出身。子供の頃から森遊びが好きで平日は学校から帰ると友達と作った「基地」で遊んだり、兄と一緒に秩父にハイキングに出かけたりしました。そして、今でもやはり自然が好きでサーフィンやトレイルランキングを楽しんでいます。私もナチュラリストなのです。

そんな彼が、今年4月3日79歳にして亡くなりました。

素晴らしい森がよみがえるには、
まず自然が見えること、感じることができる人が必要。
しかし自然音痴の人が今増えているのが心配です。

これは彼の名言です。今朝何げなく付けたテレビでNHKにニコル氏の短い番組が放映しておりました。そこには黒姫「アファンの森」の紹介。さまざまな植物、菌類、そして昆虫や両生類たち、全ての生き物がバランスを保ちつつ「生命の環」で結ばれている、森のもつ本来の力をアファンの森が語ってくれている。という内容でした。そして、with コロナの時代のデザイン思考の捉え方に、改めて彼のメッセージがとても重要だと感じました。

私が以前訪問した金融系企業様へ訪問した際に新規事業お困りであったので、デザイン思考ワークショップ を開催しませんか?というお話をさせて頂いた際に、その企業の役員の方から頂いた質問が強烈に印象に残っています。

「もし弊社がデザイン思考ワークショップをお願いするとしたら、最終的御社が売りたいITソリューションは何ですか?以前、同様な話をIT企業から頂きました」

よくよくお話を伺うと、IT企業から高額なITソリューション売り込む際に、「セールス前提デザイン思考」の話を聞かされて私も同類かと思った様です。

もちろん、そのIT会社が売り込む為にデザイン思考ワークショップ をセット販売することには異論はありませんし「デザイン思考」の認知は向上するでしょう。しかし、残念な事に、その後も同様な質問を他社で何回か耳にし「デザイン思考」が正しく伝わっていない事に気付かされました。

さよなら 「デザイン思考」

IDEOご出身KESIKI石川俊祐様がとても興味深い事を語っています(一部抜粋しておりますので全文はnoteで検索をしてください)。

さよなら、「デザイン思考」
いよいよ本題です。

ここ数年、日本のビジネスシーンにおいて、「デザイン思考」は急速に広まりました。ただし、広まった大半はカッコ付きの「デザイン思考」。冒頭で書いたように、付箋を使ったり、拡散と収束を繰り返したり、デザイン思考のごくごく一部を切り取って広まっている場合がほとんどなのです。

ぼくはデザイン思考を信じていますし、ぼくたちの会社KESIKIでは、デザイン思考のメソッドを使っていろいろなプロジェクトを手掛けています。

さよならすべきなのは、デザイン思考ではありません。カッコ付きの「デザイン思考」です。ただただ付箋を使ったり、ただただ拡散と収束を繰り返したりする、その「デザイン思考」とは、もう、おさらばしましょう。さよなら。さよなら。さよなら。

デザイン思考と「デザイン思考」。その一番の違いは、先ほどお話しした「人の気持ち」を考えているかどうかにあります。デザイン思考は、イノベーティブな「モノ」をデザインするためのメソッドではありません。心地いいとか、楽しいとか、ホッとするといった、「人の気持ち」をデザインするためのメソッドなのです。

with コロナ時代のデザイン思考とは

ここから私からの提言です。これから皆さんがどの様立場であれ、新たな環境の中で、多様性を理解し、社会的にも経済的にもバランスを保ちつつ「生命の輪」で結ばれる社会をデザインする事が求められます。そして、これからどこかできっとデザイン思考に触れるタイミングがオンライン・オフラインに関わらずあるはずです。その際に、思い出して欲しいのは、単に付箋を使い、拡散と収束を繰り返したりする事が「デザイン思考」なんだと理解したと思わず、もっとその本質に目を向けてください。そして、withコロナ時代のデザイン思考の姿を故ニコル氏の言葉をお借りして変換すると....

素晴らしいデザインをするには
まず 全体俯瞰して見えること、感じることができる人になる。
そしてその能力を身につける。

と言えるのでは無いでしょうか? そして、元々私たち日本人が持ち得ている「謙虚さ」や「尊敬さ」は「人の気持ちを読みとれる力」が備わっているはずです。そんな姿が、with コロナ時代のデザイン思考の姿だと言えるのでは無いでしょうか。

今日の整理

デザイン思考のその本質を理解しよう。皆さんがどの様立場であれこれから自分の森=エコシステムを何かをデザインする際に思い出してください。

全体俯瞰して見えること、感じることができる人になる。そしてその能力を身につける。そこには常に内面に耳を傾けて「謙虚さ」や「尊敬を持ち」「人の気持ちを読みとれる力」を発揮する。

そして時間があれば森に行ってください。